ヒトの体は 60 兆個もの細胞で出来ています。
細胞の活力がそのまま生命体の活力に影響します。細胞が働くためにはエネルギーが必要ですが、
そのエネルギー産生の素となるのが、 必須コエンザイム(注 1)の NAD+です
この NAD+は年齢と共に著しく減少し、50代では20代の半分にまで低下しているという データがあります。
この NAD+の低下が、老化の原因ではないかと注目が集まっています。
そこで NAD+を対外から摂取できれば話は早いのですが、
NAD+は分子量が大きく細胞膜 を簡単に通過できないことが分かりました。
そこで NAD+の前駆体で、より分子が小さく からだが吸収しやすい NMN や NR に注目が集まったのです。
欧米では、NMNやNRのサプリメントが有名ですが、
経口によるサプリメントですと腸吸収によりまず肝臓の NAD+が上がるのに対して、静脈注射では他の臓器細胞の
NAD+量が同じように上昇することが分かっています(注2)。
当院では、NAD+増強法として定期的な NMN 点滴をご推奨させていただいています。
NMN 点滴を受けている方の多くは、その不思議な実感に驚きます。その声をまとめると 以下のようになります。
【実感例】
老いは 20 代から始まっています。決して高齢者だけの話ではありません。
1906年にNAD+が発見されて以来、体内に豊富にあることや、我々のからだを生存させる
分子上の伝達経路に対する重要な役割によって、科学者の注目を集めてきました。
そして昨今の動物実験で、体内の NAD+の上昇が、代謝や糖尿病、心臓疾患、神経変性疾患や
免疫機能の衰えなどの老齢化疾患の分野で有望な結果を示し、老化を遅らせる特性までも示しているのです。
NAD+は、正常なミトコンドリアの機能と安定的なエネルギー供給を保持するのに必要な要素です。
老化と高脂肪な食事は、体内のNAD+を減少させます。
研究によると、NAD+を増加させる前駆体化合物(NMN や NR)を摂取することで、年老いたマウスでさえ、食事と加齢による体重増加を緩和し、運動能力を高めることが確認されています。
NAD+を増やすことは、心臓を守り循環器機能を改善します。高血圧は心臓発作につながる心臓肥大と動脈硬化の原因となります。マウスでは、NAD+を増加させる前駆体化合物(NMN や NR)が心臓の NAD+を増やし、血流不足によって生ずる心臓損傷を防ぎます。
アルツハイマー病のマウスでは、NAD+の増加が、認知機能を高める脳内の細胞対話を妨げるタンパク質を減少させることが示されています。NAD+の増加は、脳への血流不足の際に脳細胞死を防ぎます。多くの動物実験モデルで、脳年齢を健康に保ち、神経変性疾患を防ぎ記憶力を向上させることが示されています。
大人は年をとると免疫機能が衰え、病気になりやすくなり、季節性のインフルエンザや、まして Covid-19 からの回復が難しくなります。最近の研究結果では、NAD+が、炎症をコントロールし、免疫反応や加齢の中での細胞の生き残りに対して重要な役割を果たしていることが示唆されています。その研究では、免疫障害に対する NAD+の治療効果の可能性が提示されています。
NAD+は、サーチュインタンパク(注3)がゲノムの無傷状態を守り DNA の修復を進めるための燃料です。自動車が燃料なしには走れないのと同様に、サーチュインタンパクを作るサーチュイン遺伝子の活動はNAD+が必要です。動物実験の結果によると、体内の NAD+の増加はサーチュインタンパクを活性化し、イースト菌や昆虫やマウスの寿命を延ばすことが確かめられています。
是非当院で NAD+増強法を是非お試しください。
注1:補酵素
注 2 : Quantitative Analysis of NAD Synthesis-Breakdown Fluxes 、 Ling Liu 他 、 CellMetabolism 2018 MAY
注3:老化遺伝子のサーチュイン遺伝子が活性化することでサーチュインタンパクが生成されます。サーチュイン遺伝子の活性化は、食事制限、軽度の運動、レスベラトロール摂取などによって行われることが分かっています